ア・カペラ室内混声合唱団The TARO Singersのホームページです

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2008年9月号 音楽の友
ザ・タロー・シンガーズ(第10回東京定演)
関西発のア・カペラの合唱団として、年々評価を高めてきたザ・タロー・シンガーズ。練り上げられた揺るぎないハーモニーが身上のこの合唱団が、横浜、東京での演奏会を開いた。今回聴いたのは、東京公演。
演奏会前半は、ブルックナーの《アヴェ・マリア》他とハウエルズの《レクイエム》。団員それぞれの技量の高さもさることながら、端正なアンサンブルにこの合唱団の強みがあるようである。宗教作品らしい感興を誘う演奏であった。
後半は、まず武満徹の作品から。武満の陰影豊かな和声が見事に体現され、濁りのない透明感あふれる美しい世界をつくりあげた。最後の曲目であるプーランクの《人間の顔》は、自由へのメッセージを込めたエリュアールの鮮烈な歌詞による名曲。丁寧にリハーサルを重ねたと見えて、歌唱の正確さやフランス語のディクションなども確実にこなした仕上がりだったものの、ドラマ性をもう少し思い切って出してもよかったように思われる。
最近東京とは異なる視点の演奏団体も増えている関西。ザ・タロー・シンガーズの今後の躍進に期待したい。(7月13日・日本大学カザルスホール)

伊藤制子
2008年6月30日 毎日新聞
記者が選ぶ今週はコレ!・クラシック:混声合唱団、ザ・タロー・シンガーズの演奏会
大阪で活躍するアカペラ(無伴奏)の混声合唱団、里井宏次指揮ザ・タロー・シンガーズが第10回東京定期演奏会を行う(7月13日、日本大学カザルスホール)。また、初めて横浜公演も行う(同11日、横浜みなとみらい大ホール)。
今回のコンサートは「祈るだけ うたうだけ」と題されている。94年の結成以来、愚直なまでに「祈り」と「歌」を貫いてきたこの合唱団に、いかにもふさわしい。ここのプログラムは、一貫した系列と新しい領域とのバランスが非常に良い。
今回に即して言えば、一貫したものはハウエルズ、プーランク(以上13日)、ブルックナー(両日)など。これらへの真摯(しんし)な取り組みは、常に音楽の本質に到達しようとする質の高い演奏を生む。特にプーランクはこれまでもさまざまな曲で名演を聴かせてくれたが、今回、満を持してカンタータ「人間の顔」に取り組む。めったに演奏されない曲で、楽しみだ。
新しい領域は今回、「日本の抒情歌(じょじょうか)」に見られる(11日)。山田耕筰や中田喜直から、中村八大の「見上げてごらん夜の星を」まで、オランダのパブロらがアカペラに編曲したものを歌う。武満徹の「うた」(今回も歌う)でしゃれた味を堪能させただけに、こちらも楽しみ。問い合わせは03・3440・7571へ。

梅津時比古

2008年6月26日 朝日新聞
日本の歌を中心に来月11日コンサート
大阪を本拠地に、無伴奏の合唱曲に取り組んできたプロの室内混声合唱団「ザ・タロー・シンガーズ」が7月11日、横浜市西区のみなとみらいホール大ホールで日本の歌を中心にしたコンサートを開く。
94年、大阪音大院出身のテノール歌手、里井宏次さんを中心に発足。声だけの力で人の心に訴える無伴奏曲の魅力にとりつかれ、ミサ曲やレクイエムといった宗教曲、無伴奏用に編曲した日本の歌などを数多く歌ってきた。団名は、里井さんの名前がサトイモに、次いでタロイモに転じたものという。
出演は約25人。曲は山田耕筰「赤とんぼ」、中田喜直「雪の降るまちを」、宮沢和史「島唄」、中村八大「上を向いて歩こう」のほか、武満徹の作品など。午後7時開演、3千円。
7月13日同5時からは東京・お茶の水の日本大学カザルスホールで、プーランクのカンタータ「人間の顔」など別プログラムの公演もある。問い合わせは東京アーティスツ(03・3440・7571)へ。

2006年7月10日 毎日新聞
記者が選ぶ今週はコレ!・クラシック:里井宏次指揮のザ・タロー・シンガーズ
合唱の魅力を最大限に楽しもうと思うなら、もちろんアカペラ(無伴奏)を聴くに限る。ところがこれがなかなか聴くチャンスに恵まれない。まずアカペラのプロの合唱団が極めてまれである。無伴奏だけに、小人数の場合、一人が4分の1の音程を狂わせてもハーモニーがぶち壊しになってしまうので、良質の演奏にめぐり合うことはもっとまれである。
おすすめしたいのは、大阪の合唱団、里井宏次指揮のザ・タロー・シンガーズである。このわずか20人のアカペラの室内混声合唱団、ノン・ビブラートの純正律を基本としながらも、近現代曲もこなす幅の広さを持ち、演奏に、静謐(せいひつ)に向かってゆくような、精神的な核がある。メンバーに少し異同があってからさらにバランスの取れた響きになって、充実した活動を行っている。
大阪が活動の本拠だが、第8回東京定期演奏会が23日午後5時から紀尾井ホールで開かれる。3年前絶賛された「ドイツ合唱音楽」のプログラムを継ぐ「ドイツ合唱音楽の響きパート2」。レーガー「8つの宗教的歌より」、ブラームス「2つのモテット」、ラインベルガー「ミサ・変ホ長調」、バッハ「モテット イエスよ、わが喜び」、メンデルスゾーン「3つの詩篇」。 問い合わせは03・3440・7571へ。

梅津時比古

2005年12月号 音楽の友
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2005年9月号 音楽の友
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2005年7月4日 毎日新聞
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2005年7月号 ぶらあぼ
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2004年10月18日 毎日新聞
記者が選ぶ今週はコレ!・クラシック:
ア・カペラで絶品プーランク
 大阪を本拠にするア・カペラの室内混声合唱団「ザ・タロー・シンガーズ」は、一部をメンバーチェンジして、さらに見事な合唱団に生まれ変わった。かつてはややソロが勝ち気味だったのが、今、全員が完ぺきに近いバランスになっている。
技巧にたけた合唱団は全国に多いが、これほど愚直なまでに純正な響きを追求している合唱団がどれだけあるだろう。彼らの魅力は、その響きをバロックや宗教曲に絞らず、プーランクやブリテン、武満徹など、すなわち近・現代にまで生かしていることである。なかでもプーランクは絶品と言っていい。プーランクには子供のような聖性と、ごろつきのような俗性が同居するが、ザ・タロー・シンガーズはその双方をろ過して聞かせてくれるのである。
第6回東京定期演奏会では、そのプーランクを特集する。「8つのフランスの唄」(1945)、「ミサ ト長調」(1936)、「悔悟節のための4つのモテット」(1938~39)、「雪の夕暮れ」(1944)、「7つの歌」(1936)。
とりわけ、彼らの歌う「7つの歌」は、透きとおっていて、悲しくて、しゃれていて、美しい。おすすめしたい。
24日14時、第一生命ホール。問い合わせは0797・34・0128(タロー事務所)。

梅津時比古
2004年8月21日 神戸新聞
2004_08_211

2004年8月18日 毎日新聞
もうひとつの白い夜
 追いかけて、立ち止まるときに、悲しみが生まれるような気がする。多くの悲しみが、そこから来るのだろう。恋人に去られたとき、身内を失ったとき、大事な物をなくしたあとも、エウリュディケーを黄泉(よみ)の国に探すオルフェウスも、追いかけて、ふと振り返ると、悲しみが迫っている。
追いかけているうちに、何を追いかけているのか分からなくなる。人は、追いかけている自分を追いかけ始め、迷路に入り込む。何かを追いかけることになってしまった人は、悲しい。
武満徹が珍しく手を染めたシャンソンの「雪」。美術評論家で詩人の瀬木慎一がフランス語で書いた詩に、曲を付けている。日本語訳は次のようになる。
雪が降っていた
雪が降っていた
おとこが離れていったとき
おんなはまた泣き出す
白い夜のあとの
もうひとつの白い夜
この曲を無伴奏合唱に編曲した版が、里井宏次指揮ザ・タロー・シンガーズによって7月30日、大阪・いずみホールで初演された。「俗にあって聖をうたう」と題された第11回定期演奏会。武満のポップス的な歌を編曲した15曲と、ブリテンの「世俗と神聖」「聖セシリア賛歌」が、いずれもアカペラで歌われた。「雪」を含む武満の9曲は今回、台湾出身でロサンゼルス在住のデイヴィッド・ロン=シン・ウェンに編曲委嘱された。
「雪」は、かすかな不安を抱かせる主旋律を、それぞれ異なった声部で少しずつ形を変えて追いかけてゆくように編曲されていた。その追いかけてゆく声が、旋律の下に入ったり上に来たりして、幻のように耳に残り、静けさの中で、男9人、女9人とは思えないような重層的な音の交響をなす。さまざまな人の思いが集まってくるよう。
その音の流れがふと立ち止まり、各声部がひたすらに、透明に響き合う。それが、追いかけた果てに、ぽっかりと心に穴があいた「もうひとつの白い夜」として聞こえた。無が広がり、一瞬、世界は響きに集約され、何も見えなくなる--やがて、悲しみに染まる。
この曲には、ピアニストのフランソワ・クトゥリエの即興的な演奏で、カウンターテナーのドミニク・ヴィスが歌った名盤があるが、ここにまた、全く異なった魅力を持つ編曲と演奏が生まれた。
創立10周年を迎えてメンバーを大幅に入れ替えたザ・タロー・シンガーズは、前にも増してバランスの良い純正な響きを生み出す。響きから濁りが消えると、人の心のわずかな動きも映し出される。

梅津時比古

2004年7月8日 日本経済新聞

<チャレンジ>武満徹の作品を新編曲で世界初演 ア・カペラ(無伴奏)の合唱団、ザ・タロー・シンガーズが30日、いずみホールで武満徹とブリテンの作品に挑む。目玉は武満作品のうち「雪」「燃える秋」など9曲。本来、映画音楽の挿入曲などに単旋律で書かれたものを新たに混声作品として披露する。武満とも親交のあった米国在住の作曲家・温隆信が編曲し、世界初演となる。武満作品は「近接する音を重ね合わせて繊細な響きを生み出すのが持ち味。言い換えると、パートによっては非常に歌いにくい」(里井宏次代表)。温の編曲がどこまで武満色を踏まえたものになるか、聴きものになりそうだ。
2003年1月号 ハーモニー
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2002年8月号 音楽の友
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